このページでは、実際にハイスピードカメラを導入・活用されている事例を具体的に紹介しています。ハイスピードカメラがどのような場面で有効性を発揮しているのか、ポイントを把握しておき、導入メリットや導入機器を比較検討していきましょう。
アルコール消毒ポンプのヘッドノズルを押し込む速度を変えることで、吐き出されるアルコール消毒液の様子がどのように変化するのか、ハイスピードカメラ「プレクスロガー」によって撮影・解析している事例です。消毒液の吐出状態が滴状から霧状へ変化する際の速度や条件を分析することで、製品としてのノズルヘッドやポンプの形状が適正かどうか検証し、製品開発の参考資料として活用することができます。
また、フレームレート1,000fpsの高速撮影によって、滴状から霧状へ消毒液が変化する際に勢いが最大化していると判明しました。
ハイスピードカメラと解析アプリを活用して、基盤加工や板金加工などにおけるプレス工程の様子を解析している事例です。高速でパンチされるワークの様子をハイスピードカメラ(1,600fps)で撮影して観察することで、どのようなペースやタイミングでワーク送りが実行されているのか肉眼で確認できるようになります。
加えて、打ち抜き直後にばたついているワークの様子を、垂直方向の定点観測によって定量的に観察できるようになり、製品の品質管理や作業工程の正確性を追求する際の参考資料として活用できることもメリットです。
板金加工の切削加工作業の様子を、フレームレート4,000fpsのハイスピードカメラ(シャッタースピード:1/8000)で撮影している活用事例です。
加工機によって高速回転する状態を作業員の肉眼で捉えられるようになり、切削加工時に発生する切りくずがどのように排出されているのか正確に検証できるようになりました。これにより、適切な刃の選定を考えたり、切りくずをどのような方向・強度で除去すれば良いのかエアーの当て方を検討したりできるようになります。
現状の切削加工作業をさらに効率化したい場合や、より高性能な加工マシンを開発したい場合などに役立つ加工事例といえるでしょう。
ハイスピードカメラ「プレスロガー」によって、オートメーション化されているはんだ付け作業工程の様子を撮影(1,600fps)した事例です。
対象部位に糸はんだが自動送りされている様子や、糸はんだが溶け込んでいる量を改めて確認して、はんだ付けの仕上がりや作業の正確性などを検討することができるようになりました。また、はんだ付けの際に「はんだボール」が飛び出して、周囲へ飛散している状況も確認できたことが重要です。
このようなデータを活用することで、糸はんだの送りスピードや量を調整し、高品質なはんだ付けを実現しつつ、はんだボールの発生を抑えて周辺への影響を低減できるようになります。
高速でコイルの巻き線が行われている作業の様子を、ハイスピードカメラ(2,000fps、シャッタースピード1/4000)で撮影して、コイルの巻かれる様子や整列具合などを検証している事例です。
人間の目では美しく整えられて巻かれているように見えていた作業も、実はコイルとコイルの間に新しい線が巻き込まれるように巻かれてしまったり、部分的に多重巻きが発生したりして、均一な巻き線が実行されていないと判明しました。
このような検証を重ねて、既存の加工機のパラメータを変更して調節を行ったり、より効率的な加工機の設計・開発を進めたりしていきます。
プリンターを使った印刷時は、用紙がプリンター内部で自動的に送られていますが、その様子をハイスピードカメラで撮影した事例です。
ハイスピードカメラの映像によって、紙送りを行うプリンターのローラーが設計に対して実際はどのように稼働しているのか確認できるため、適切な給紙・排出のシステムを考案する上で役立ちます。また、用紙の給紙~排出を検知するセンサーを設計・開発する際、用紙がどの程度の時間で送られているのか数値的に検討することで、最適なセンサー信号の設定プランを考案できるようになり、誤検知や紙詰まりなどのリスクを低減できるようになります。
人間の動きをトレースするロボットの動作分析を、2台のハイスピードカメラを使って同期撮影することで、人間の目では視認することのできない動作の遅延について可視化・数値化できるようになりました。
一方のカメラで人間の動きを撮影し、もう一方のカメラでロボットの動きを撮影することで、それぞれの映像から動作遅延がどの程度発生しているのか正確に検証することができます。また、マイクで収集した音声信号と解析ソフトを活用することで、ロボットが動作した際に発生する音の因果関係を分析し、静音設計の機構やマシンを設計・開発できるようになったことも特徴です。
シリンダー内部で4サイクルの燃焼行程を繰り返している、エンジン(内燃機関)の様子をハイスピードカメラ「FASTCAM SA-Z」で高速撮影した実験映像です。燃焼行程がどのように行われているのか視覚的に確認できるようになった上、20,000fpsというフレームレートで一般的なカラーカメラでは撮影困難とされる予混合火炎(ブルーフレイム)の撮影に成功していることも見逃せません。
このような実験によってエンジンの設計の正確性や機構の効率性などを明確化して、より高性能な内燃機関の開発へつなげていくことができます。
株式会社フォトロンの小型ハイスピードカメラ「FASTCAM Mini WX」を使って、自動車と自動車の衝突実験を車外から撮影した事例です。
交通事故が発生した際に自動車がどのような流れで破壊されていくのか、具体的にデータ化することで安全設計を追求できるようになり、ドライバーや同乗者の命を守れるようになります。
また、現代はエアバッグが発達しており、衝突時に車内の各所からエアバッグが膨らんで人々を守れるようになったおかげで、衝突時の車内の様子を外部から確認しにくくなっていることもポイントです。そのため、車載カメラの高速化ニーズも高まっており、ハイスピードカメラの技術応用が模索されています。
ハイスピードカメラ「HAS-D71」を使って、ナイロン製の釣り糸が釣り材のロッドガイドを通過する際にどのような挙動を示しているのか、8,000fpsで撮影している事例です。
単に高速撮影によるスローモーション映像を作成するだけでなく、拡大レンズを組み合わせることで微少・微細なワークの観察もできるようになります。
釣り糸の挙動を分析して適切なロッドガイドの形状や位置を検討することで、より安定した釣り竿などの新製品を開発できるようになります。
ペットボトルへの液体充填ラインにおいて、充填した内容物がこぼれてしまい、不良品が発生するという不具合が起きていました。そこでハイスピードカメラ「SpeederV2」を導入して、液体充填ラインの搬送工程をターゲットとした長時間撮影を行ったところ、液体内容物がこぼれる具体的なポイントを特定することに成功しています。
さらに映像解析を行って、フックアップコンベア部の摩耗が不具合を引き起こす原因になっていることが特定され、作業のタイミングのずれが内容物の漏れの理由だと解明されました。また、特定部位を改善することで問題も解決しています。
錠剤パッケージ工程における搬送時に、1万回に1回という程度でしたが搬送ミスが発生し、適正なラインを外れた錠剤によるジャム(詰まり)が引き起こされていました。まれな事例ですがその都度、装置が停止して歩留まり悪化の原因になっており、問題の改善が求められていました。
SpeederV2を使って搬送ラインの挙動を高速撮影したところ、真空吸着パッドがまれに吸着ミスを起こしていることが発見され、吸着パッド位置の再調整によって状況改善が叶えられています。安定した挙動を獲得することで歩留まり悪化も解消され、全体的な作業の効率化と管理品質の安定性が向上していることがポイントです。
生産装置の基板へチップを実装する作業ラインにおいて、チップマウンタが基板へチップを設置する際に部品のズレやブリッジといった不具合が発生し、不良率の増大が問題となっていました。そこでSpeederV2の高速撮影機能によって、チップマウンタの挙動や実装作業を可視化したところ、部品がずれて不具合が発生する瞬間の撮影に成功し、さらに画像解析によって原因の特定まで叶えられました。
原因を特定したことで不良品発生対策も具体的に実行することが可能となり、不良率の低下を叶えられたことが活用成果です。
ハイスピードカメラは様々な業界や作業現場において幅広いメリットを獲得できるアイテムですが、一方で環境や条件に合わせて適切なハイスピードカメラを選定しなければ、コストパフォーマンスを追求していくことは困難です。
ハイスピードカメラを選ぶ上で、そもそも何を目的としてハイスピードカメラを導入するかニーズを明確化しておくからこそ、無駄にコストが高く過剰性能の機種を選ぶといったリスクを回避できます。
ハイスピードカメラを賢く導入するためには、最初にハイスピードカメラを必要とする理由や撮影したい対象、条件に応じて必要とされる性能などを具体化しておき、ニーズとの相性を考えながらコストパフォーマンスを比較検討していくことが大切です。
製造ラインでは製品の種類や規模によって様々な産業用機械が導入されており、それぞれにおいてトラブルや不具合のリスクが存在しています。製造ラインにハイスピードカメラを導入することで、それぞれの工程において生じる問題の内容を検知したり、問題の発生原因やリスクを分析したりすることが可能です。
また、長時間撮影を行える機材を導入すれば、いつ発生するか分からないトラブルについて撮影チャンスを得られる可能性が高まります。
高速で回転するドリルやエンドミルの様子をハイスピードカメラのスーパースローモーション撮影機能によって可視化することで、工具のブレや切りくずの状態などを具体的に検証することが可能です。
また、振動計などのアナログ波形と映像を同期させることにより、波形が指し示す状態が実際にどのようなものなのか、視覚化してチェックできることも重要でしょう。ここでは切削加工におけるハイスピードカメラの導入時例をまとめました。
現代ではスポーツサイエンスの領域やエンターテインメントとしてのスポーツ観戦などにおいて、ハイスピードカメラやスーパースローモーション撮影を導入する事例が増加しています。
スポーツ競技をハイスピード撮影することにより、筋肉の動きをチェックしたり、フォームの正確さを分析したりすることが可能です。また、娯楽映像としてスーパースローモーション映像を楽しめることもあるでしょう。スポーツ分野のハイスピードカメラ導入事例を解説します。
ハイスピードカメラは、気体や液体などの流体を撮影するのに最適でしょう。たとえば液体が落下するときの衝撃の伝わり方なども、スローモーションで観察できれば動きを分析しやすくなります。学術研究など幅広い分野で活用できるため、様々なシーンで用いられるでしょう。流体の撮影ポイントや活用事例などを紹介するので、チェックしてください。
自動車業界にとって、ハイスピードカメラは安全性の高い車両の開発や自動運転の研究などは必要不可欠です。たとえば衝突時の詳細を撮影することで弱い箇所なども把握しやすく、どの部位を丈夫に作った方が良いのかチェックできるでしょう。またエアバックが動作するときの映像やセンサーの分析などにもハイスピードカメラは重要なアイテムです。どのような導入事例があるのかチェックしてみてください。
溶接といってもレーザー溶接や被覆アーク溶接、TIG溶接、MIG溶接などの種類があります。溶接の状況をハイスピードカメラで撮影することによって、細かく映像を分析できるため溶接に適した条件などをチェックしやすくなるでしょう。そのため溶接前・後だけでなく、溶接中の映像分析も重要になるのです。溶接におけるハイスピードカメラの導入事例などを紹介します。
製造現場で活用するなら
活用事例数
製造現場:40件
研究開発:8件
特殊状況:0件
おすすめの理由
製造現場で求められる
スペックを満たし(100,000fps)
撮影・記録・解析機能が1台で叶う
研究開発での用途が多いなら
活用事例数
製造現場:8件
研究開発:29件
特殊状況:0件
おすすめの理由
研究用に適した
撮影速度100万fps以上の
製品が多い (3製品)
特殊な状況での撮影が必要なら
活用事例数
製造現場:12件
研究開発:28件
特殊状況:7件
おすすめの理由
防衛や宇宙関連など、
高度な技術を要する撮影にも
対応できる