このページでは、ハイスピードカメラの仕組みについて、わかりやすく解説しています。カメラ本体はもちろん、高速撮影のシステムを構成している機器について、チェックしてみましょう。
ハイスピードカメラとは、単純に説明すれば「高精度のスローモーション撮影ができるカメラ」です。
現在はデジタルカメラやスマートフォンのカメラの性能も向上しており、高速連写やスローモーション撮影といった機能を搭載する製品も少なくありません。
しかし業務用ハイスピードカメラとして求められる性能や条件は、一般的な家電レベルで考えられる「高速」よりも高度であり、撮影速度や画像の解像度、品質などを追求するほどに導入コストも増大していきます。
業務用ハイスピードカメラは毎秒数千~数万コマの撮影を叶えるものであり、単にシャッタースピードが速いだけでなく、一瞬の撮影でも十分な解像度や画質を確保できるようなシステムを搭載していることが重要となります。
ハイスピードカメラも、家庭用のカメラと同様、レンズを備えたタイプが一般的です。レンズはフィックス型のものが多いですが、映像・メディア業界で使用されるハイスピードカメラなどは、交換式のレンズを使用することもあります。
ハイスピードカメラのレンズも、撮影したい映像の画角に関わってくるものです。広角レンズやズームレンズ、またマイクロスコープ、顕微鏡システムさらにはボアスコープやファイバースコープといったレンズが使用されています。
ハイスピードカメラの筐体は、一般的に認識されている大きさよりも、小型化が進んでいます。これは製造現場や研究開発現場のニーズが背景にあり、狭小スペースや顕微鏡撮影といったシーンでも高速撮影を行えるように開発されているためです。
また、自動車の衝突実験といった現場では、ハイスピードカメラそのものが衝突プロセスに含まれるため、カメラの筐体も頑丈に作られており、高い耐衝撃性を誇るタイプもあります。
ハイスピードカメラの撮像素子(イメージセンサー)は、光を電気信号に変換する部品で、撮影できる解像度に大きく関わる機器になります。より大きなサイズで撮影したい場合、より高度な撮像素子を搭載している必要があります。
ハイスピードカメラの仕様は、一般的に最大解像度と最大撮影速度が反比例する関係にあります。最大解像度で撮影をするなら、撮影速度は大きく落ちることになるため、用途によっていずれかを選ぶことになります。
照明機器は、カメラ本体に備わっていないものでも、ハイスピードカメラの運用システムの一部と考えることができます。というのも、高速撮影は、露光時間が非常に短いため、映像そのものが暗くなりがちだからです。それを補うため、「LED照明」や「メタルハライド照明」、「レーザ照明」といった高光度照明が欠かせないケースも存在します。
ハイスピードカメラに必要な照明機器は、撮影対象や撮影場所、フレームレートなどの設定によって異なりますので、しっかりと確認して導入しましょう。
記録用メモリーは、ハイスピードカメラで撮影したデータを保存する機器です。カメラ本体に内蔵されているタイプもあれば、本体からデータ転送を行い、保存するタイプもあります。
記録用メモリーは、撮影データが大きくなるほど、大容量のものが必要になります。ハイスピードカメラの機種によって、大容量メモリを内蔵していたり、オプションで増設できるものがあるのはそのためです。メモリ内蔵型であれば、電源喪失などのトラブルがあっても、撮影データを消失せずにすむメリットがあります。
パソコンは、ハイスピードカメラで撮影したデータを確認することはもちろん、高速撮影のシステムの一部としても必要になるケースがあります。カメラに接続することで、カメラ制御のインターフェースとして活用できます。
ハイスピードカメラのモニタリングをはじめ、リモコン制御による遠隔撮影、さらにはSSDカードにデータを直接記録できるなど、パソコンがあることで、ハイスピードカメラの運用は、格段に効率的になります。
解析ソフトウェアは、とりわけ産業分野の高速撮影でニーズがある機器です。カメラで捉えた画像データを自動的に分析し、波形測定などにかけることで、高速撮影と現象の解析をより効率的に行うことができます。
近年では、ハイスピードカメラとAI(人工知能)技術による解析ソフトウェアが組み合わさり、様々な分野で導入されています。ハイスピードカメラの撮影システムには、ますます欠かせない機器となるでしょう。標準装備なのか有料オプションなのかは、販売元にしっかり確認する必要があります。
BtoB向けのハイスピードカメラは個人向けのよりもコストは高め。そのため、選定はどうしても慎重にならざるを得ないでしょう。製品のスペックや性能を比べることも大事ですが、それよりも前に検討する上で知っておきたい基礎知識をまとめています。ハイスピードカメラの仕組み以外の情報も知りたい方は参考にしてみてください。
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