ハイスピードカメラには、カラーとモノクロがあります。普通のデジカメなどでは、モノクロ撮影ができる機能はあっても、ほぼカラーが基本となっています。では、なぜハイスピードカメラには、カラーとモノクロがあるのでしょうか。そこには、さまざまな事情があるのです。
カラーとモノクロのどちらかを選択する場合、一般的に言えば多くの人がカラーを選択するでしょう。それは、「色」という重要な情報が入っていることによります。
しかしハイスピードカメラの場合には、すべてのメーカーがそうではありませんが、多くがモノクロで、モノクロ機種が90%程度を占めているメーカーもあるほどです。カラーの機種を使用しているのは、テレビなどのメディア関係などが多く、より多くの人に「見せるため」の画像を提供する目的が多いようです。一方で、使用用途の大部分を占める研究用や製造現場での使用の場合、色を識別する必要がある用途以外では、ほぼモノクロが主流です。その理由としては、メディア関係とは違い、娯楽などの目的で多くの人に見せる必要が無いこと、また、カラーとモノクロの性能の違いによるものです。
では、ハイスピードカメラにおけるカラーとモノクロの違いは何でしょうか。もちろん、色を表現するかしないかの違いはありますが、それ以外に性能に関する違いがあるのです。
それは、カラーを表現する技術にあります。デジタルでカラーを表現する場合には、1つのピクセルにカラーフィルターを乗せますが、三原色であるR(レッド)・G(グリーン)・B(ブルー)の3種類のフィルターを1つのピクセルに乗せることができません。そこで、1つのピクセルに1つの色だけを乗せて、そのほかの色は予測値により色を表現するのです。
このことによって、カラーを表現するためにはモノクロの4分の1の解像度になってしまうのです。モアレも多く発生し、鮮明さも失われることがあります。このようなことから、多くのユーザーがモノクロのハイスピードカメラを選択しているのです。
モノクロに比べて解像度が下がるというデメリットもありますが、カラーの強みとしてあげられるのはカメラの検出精度が上がることです。モノクロが得意とする明暗による検出は、金属や鏡面仕上げのような光沢のある製品には向いていません。カラーなら色の濃淡で判別でき、さらに光源の方向や天候などからくる明度の違いによる影響を受けにくいというメリットもあります。
ハイスピードカメラはカラーとモノクロがありますが、モノクロが主流となっています。その理由は、モノクロのほうが解像度性能に優れているからで、購入時には、慎重にスペックを検討することをおすすめします。
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