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活用・導入事例

切削加工におけるハイスピードカメラ
活用・導入事例

このページでは、切削加工においてスーパースローモーション撮影を可能にするハイスピードカメラの導入時例や、ハイスピードカメラの導入によって解決できる問題点などを詳しく解説しています。ハイスピードカメラ導入の参考としてご活用ください。

切削加工における撮影のポイント

高速で回転するドリルなどを利用して金属を削ったり、穴を開けたりする切削加工において、問題発生の瞬間を肉眼で捉えることは困難です。そのためハイスピードカメラによるスーパースローモーション撮影によって、トラブルの原因を可視化して検証することは有効です。

ただし、切削加工では切りくずなどが発生して飛散するため、撮影時にはそれらが画角を遮らないよう調整したり、カメラが傷ついたりしないよう注意しなければなりません。また、切削油を使用すると加工ポイントが見えない場合もあります。

ハイスピードカメラで解決できること

例えば金属板に穴を開ける加工において、穴の中心点が微妙にずれていたり、穴のサイズが微妙に異なっていたりする場合、ドリルが正確に動作せずブレてしまっている可能性があります。あるいは加工マシンに取り付けた工具が破損した時、どのような原因やタイミングで破損が生じたのかスーパースローモーション動画だからこそ撮影できる場合もあるでしょう。

その他、ドリルの回転速度(回転数)によってどのような違いが発生しているか確認することも可能です。

導入・活用事例

ドリル加工×ハイスピードカメラ(フォトロン)

※引用元:フォトロンYouTube
(https://youtu.be/0jeeqlWidVg)

加工対象の金属素材(20mm角)に関して、ドリルによる穴あけ加工を高速撮影によってスーパースローモーション映像(シャッタースピード:10万分の1秒、フレームレート:12,800fps)として記録した事例です。

カラーカメラを利用することで鮮明な動画が撮影されました。回転数10,000rpmのドリルが人間の目でも十分に確認できる状態として撮影されており、加工によって発生している金属屑の状態や周囲への飛び散り方まで正確に確認することができます。

ドリルの回転数の比較×ハイスピードカメラ(フォトロン)

※引用元:フォトロンYouTube
(https://youtu.be/oBNG8moHZkM)

ドリルを使った切削加工において、ドリルの回転速度を変更することで、加工にどのような違いが生じているのかハイスピードカメラによるスーパースローモーション撮影で比較検証している事例です。

一方のドリルは5000rpmの回転速度となっており、もう一方は1万rpmの回転速度になっていることがポイントです。両者の撮影速度を調節して同じ速度のドリル回転映像を取得することで、穴あけ加工における差違や影響を明確化しています。

エンドミルと切削動力計との同期×ハイスピードカメラ(フォトロン)

※引用元:フォトロンYouTube
(https://youtu.be/lp20efd6gK8)

軸方向へ推進して円形の穴を加工するドリルに対して、エンドミルは軸に直交する方向に穴を開けたり、表面を平滑化したりするために用いられる加工機です。エンドミルの回転と、切削動力計の波形を同期させ、その様子をハイスピードカメラによって撮影した事例となります。

切削動力計の波形の変化と、実際に素材が加工されている様子を同時に観察することで、波形がどのような状態を示していたのか具体的に確認することができるようになります。

工具の振動の画像解析×ハイスピードカメラ(フォトロン)

※引用元:フォトロンYouTube
(https://youtu.be/GgNZm3vcjpg)

ドリルによって切削加工を行っている状況をハイスピードカメラによってスーパースローモーション撮影し、さらに振動計を活用して工具の振動の様子をアナログ波形によって記録、それぞれを比較検討した事例です。

波形を確認することでドリルの先端がブレて位置がずれていることが確認されていると同時に、実際にドリルがブレている様子を視認することで問題の発生状況を具体的に観察することができました。これによりパラメータの再設定などが可能になります。

DIC解析による材料の変位観察×ハイスピードカメラ(フォトロン)

※引用元:フォトロンYouTube
(https://youtu.be/XEFaHe-rQK8)

穴開け加工時における材料の変形を、ハイスピードカメラを活用したDIC解析(歪み解析)によって分析している事例です。

ドリル加工を行っている素材において、加工面の反対側から穴あけ加工を高速撮影することによって、素材の表面に生じる歪みの状態を解析しています。これにより、ドリルの回転速度や工具の最適化を検証したり、切削加工が素材に与えるダメージや影響などを分析したりすることができるようになります。

切削加工で利用できるハイスピードカメラ

FASTCAM Nova Sシリーズ

高速・高解像度撮影が可能

FASTCAM Nova Sシリーズのなかでも最上位モデルのFASTCAM Nova S20は、100万画素で20,000コマ/秒の撮影が可能な高速・高解像度撮影性能を有しています。具体的には1024×992ピクセルで20,000コマ/秒、512×512ピクセルだと62,500コマ/秒で撮影が可能。最高撮影速度は110万コマ/秒を実現しています。

さらに、感度もモノクロISO64,000、カラーISO16,000と高く、切削・燃焼・溶接などさまざまな分野で活用できるハイスピードカメラです。

持ち運びしやすい小型軽量密閉筐体

FASTCAM Nova Sシリーズには比較的新しい設計技術が採用されており、サイズは120.0mm×120.0mm×217.2mm、重さは3.3kgと、小型軽量のモデルです。FASTCAM Nova Sシリーズを開発しているフォトロンの従来モデルと比較した場合、体積マイナス60%、質量はマイナス70%を実現しています。持ち運びがしやすく、セッティングも容易に行えるのが特徴です。

新しく改良した低ノイズ・高感度センサーを搭載

製造元のフォトロンは画像処理に特化したハードウェアとソフトウェアを開発している会社で、高速CMOSセンサーに定評があるとのこと。FASTCAM Nova Sシリーズに搭載されているセンサーは従来の高速CMOSセンサーを新たに改良したもので、低ノイズかつ超高感度性能を実現。これまでは難しかった暗部の撮影も可能となっており、エンジン燃焼や流体、DIC(ひずみ解析)などの撮影に適しています。

超高速データ保存に対応

専用SSDのFAST Drive 4TBに対応しており、超高速でデータ保存ができます。従来のFASTCAM SA1.1のギガビットイーサネット保存と比べ、データ転送速度は約10倍。これまで10分かかっていた待ち時間を1分に短縮でき、高速撮影にかかる作業の効率化を図れます。

また、10ギガビットイーサネットを使用することで、撮影後のデータ転送速度の大幅な短縮も実現。「撮影後のデータ保存時間を短縮したい」「決まった時間内でより多く撮影したい」というニーズに応えられるハイスピードカメラです。

遠隔操作が可能

FASTCAM Nova Sシリーズでは、一般的なハイスピードカメラで採用されているGタイプFマウント、Cマウントといったレンズマウントのほかに、EFマウントをオプションで追加できます。EFマウントは一眼レフカメラにも採用されているレンズで、絞りとフォーカスをコントロールPCから遠隔操作できるのが特徴です。

さまざまなハイスピード
カメラを
扱っている会社一覧

ハイスピードカメラ以外でのトラブル対策

切削加工におけるトラブル対策としては、ハイスピードカメラを導入する以外にも、下記のような対策を行うことができます。

切粉による加工不良の対策

チップブレーカの使用

切粉が原因となった加工不良を防ぐには、まずチップブレーカが付いた工具を使うことです。チップブレーカは、切削条件によって性能を使い分ける必要がありますが、切粉をカール・分断させることができるため、工具や素材への巻きつきを防ぐことができます。

切削パスで切削経路を変更

切粉の発生を制御するには、切削パスを工夫することも有効です。切削経路を制御することで、発生のコントロールを行うことができます。「断続加工」や「NCプログラムの遅延」も、切粉の分断に有効です。

クーラントで鉄粉を洗い流す

クーラント(冷却水)を高圧で噴出することで切粉を洗い流すことも、一般的な加工不良のひとつです。高圧のクーラントを当てることで、切粉を洗い流すことができます。

クーラントの供給方法はさまざまですが、ドリルの先端から噴出するなど、穴加工でも有効な対策になっています。

ビビりによる加工不良の対策

剛性の高い工具を選ぶ

「ビビり」とは、切削加工において断続的に発生してしまう振動のことで、これにより加工不良が発生する恐れがあります。

ビビりの対策としては、まず剛性の高い工具を選ぶことです。超硬の工具や、ツールホルダーも剛性が高いものを採用するなど、ビビりの発生を抑制する工具を使用しましょう。使用する径が大きいものだったり、勾配のついたものを選ぶことも、ビビり対策に有効です。

振動を分散させる

ビビりの対策として、加工不良を引き起こす振動を分散させることも効果があります。具体的には、チップや切れ刃といった配置が不均等な工具を使うことで、ビビりの発生を抑制させることができます。不等ピッチ・不等リードの工具を選ぶことで、加工における振動を分散させることができるのです。

振動を分散させることで、切削抵抗の共鳴が原因となって発生するビビりを防止することができるでしょう。

切れ刃の角度を変える

ビビりの発生を抑えるために、切れ刃の角度を変えることも重要です。なぜなら、角度がより緩やかなチップを選ぶことで、切削による発生する抵抗の軸方向を移動させることができ、ビビりの発生が抑制されるからです。

切れ刃の角度を変えるという点では、工具で使われる刃数を増やしたり、中心点をずらすことで同時に切削できる端数を増やすことも、ビビりの発生を抑えるために有利に働きます。

クランプの状況を確認しておく

切削加工におけるビビりの対策では、有利な工具を選ぶことはもちろんですが、加工上の段取りをしっかりと管理することも有効策のひとつです。例えば、クランプや治具といった締め具がきちんと締まっているかどうか状況確認をすることも、振動対策として重要なのです。

切削加工を行う前に、クランプ状況を把握するために、素材をハンマーなどで叩き、振動確認を行いましょう。振動が長く続くようであれば、段取りの見直しが必要です。

負荷を想定した準備をしておく

振動は素材にかかる負荷によって発生してきます。ビビりの発生を抑制するには、こうしった負荷を想定して事前に防振対策を行うことも、段取り上にできる対策になります。

素材にかかる負荷を考慮した防振対策を行うには、材質や切削加工の条件などをあわせて点検します。クランプの方法や方向の見直しを行うことで、ビビり対策を行っていきます。

切り込み量を小さくする

切削条件を見直すことでビビリ対策を行うこともできます。具体的には、切り込み量や回転数などを見直すことですが、切削条件は当然ながら品質にも関わってきますので、ビビリ対策もそれらとのバランスをとって行います。

切り込み量を小さくすることは、切削抵抗を抑制することに繋がります。切り込み量を小さくするほど、切削抵抗の周期変動は小さくなりますから、ビビりの発生を抑えることができるのです。一方で、切り込み量が小さくなりすぎると、背分力によるビビりの発生が起こるため、慎重に見直しを行いましょう。

回転数を調整する

回転数が小さくなるほど、ビビりの発生は少なくなります。工具や素材の回転数を低くすることも、有効なビビり対策のひとつになります。

一方で、回転数がある程度低くなっているにも関わらずビビりの発生が続いてしまう場合は、回転数を高めて調整を図っていきましょう。

チッピングによる加工不良の対策

軟らかい材質の工具に変える

切削工具の刃先が欠損し、ギザギザの状態になってしまうチッピングに対しては、どのような対策ができるのでしょうか。

まず工具面の対策としては、柔らかい材質でできた工具を選ぶことです。大きい衝撃を伴う断続加工といったシーンでは、柔らかい材質ものがチッピングの対策になります。ただし、柔らかすぎると切削熱によるデメリットも発生しますので、注意しましょう。

先端の形状を変更する

鋭利な先端の工具ほど、チッピングが発生しやすくなります。刃先に丸み(アール)が付いたものを選ぶことで、チッピングを防ぎましょう。ピッチング対策としては、刃先の面取りや縁取りがついている工具も有効です。

加工対象の素材によっても、工具の先端を適切に変えることで、チッピング対策を行いましょう。

親和性の低い工具を選ぶ

加工する素材との親和性(=結びつきやすい性質)が低い工具を選ぶことも、ピッチングを防ぐ上で効果的な対策です。例えば、鋼材に加工を施すなら、コーティング処理がされて、親和性を低くしているコーテッドやサーメットの工具が有効です。鉄との親和性が低いサーメットは、仕上げ加工などもに非常に適しています。

切り込み量を小さくする

加工品質とバランスをとりながら、切り込み量や回転数といった切削条件を見直すことで、ピッチング対策を行います。切り込み量を小さくすれば、切削抵抗も抑制されますので、刃先のピッチングも抑えることができます。チッピングが発生しやすい工具を扱う場合など、状況にあわせて対策していきましょう。

クーラントを使う

クーラント(冷却水)を使うことで、切削加工における潤滑性を高めて、チッピングを抑制することができます。摩擦による切削点の発熱を抑えることもできるため、急な温度差の発生によるチッピングも防止することができます。

一方で、クーラントの過多で切削温度が下がりすぎると、構成刃先の発生原因にもなりかねないため、注意しましょう。

回転数を調整する

チッピングを抑制するために切削抵抗を減らすには、回転数を調整することもできます。回転数を減らすこと、チッピングは発生しにくくなっていきます。

実際に作業を行う場合は、構成刃先の発生に注意するため、素材や加工状況の様子もみながら回転数の調整を行っていきましょう。

バリによる加工不良の対策

切れ味の良い工具を選ぶ

切削加工で発生する金属のかえりである「バリ」は、加工不良の原因になります。工具の選定でできるバリ対策としては、刃先が摩耗した工具を選ばないことと、すくい角が大きい切れ味の良い工具を選ぶことになります。

すくい角が大きいことで、切粉が薄くなります。このため、バリも発生しにくくなるのです。

強度が高い工具を選ぶ

強度が高い工具を選ぶことで、バリを防ぐことができます。鋭利な刃先であることにより、バリが生まれにくくなるためです。効果的な素材は超硬やセラミックで、これらで作られた工具は強度が高いものになります。

切削加工の素材を見定めながら適した工具を選び、バリの発生を抑えましょう。

仕上げ加工で除去する

切削加工で発生したバリは、バリ取りや切削パスといった仕上げの工程で除去することも重要です。バリ取りを兼ねた仕上げの工程を設計することはもちろん、バリ取りのブラシや専用のカッターといった加工も行うことで、バリが除去された製品に仕上げることができます。

切削の送り方向を調整する

仕上げの工程などでバリ取りを行うことが事前に把握されている場合は、後の工程でバリを取りやすいようにするため、切削の送り方向を調整し、バリが一定の方向に出るようにしておくことも有効です。仕上げの工程でバリを取りやすいようにするには、素材の外側にバリが出るように切削パスを変えておきましょう。

また一般に、下向きのダウンカットの方がバリの発生を抑えることもできます。

一次加工を調整する

一次加工の工程で、できる限りバリが小さくなるように調整することも重要です。具体的には、一回の切削で大きな削りにならないように、複数のパスに分けて加工を行うことで、バリの発生を抑えられます。

一次加工でできる他の調整としては、工具の送り方向を変えてみることも効果的です。

切り込みの量を抑える

品質との調整をしながら、切り込み量や回転数といった切削条件を見直すことでも、バリの発生を抑えることができます。

例えば、切り込みの量を抑えることで、切削する素材の塑性変形を抑えることができ、バリを小さくすることが可能です。刃数を増やすことで一度あたりの切り込み量を減らすことも、バリを抑えることができます。

摩擦熱による変形を防ぐ

クーラント(冷却水)を噴出することで、切削する素材の摩擦熱を抑えて、変形や溶着を抑えることは、バリを減らすことにも役立ちます。これは、切削加工における削り残しが減るためです。

高圧のクーラントを使うことができれば、微細なバリを洗い流すこともできます。

回転数・速度を下げる

回転数・速度を下げることで、切削する素材の塑性変形を抑制し、結果的にバリを小さく抑えることができます。

一方で、回転数・速度といった切削条件を下げることは、加工効率を下げることにもなってしまいます。仕上げの工程のみ回転数・速度を下げるなど、工程全体でバランスがとれた対策を行いましょう。

THREE SELECTION
       
活用事例から見る!
シーン別ハイスピードカメラ3選
ハイスピードカメラを選ぶ上では、必要とするスペックや機能を把握することも大切ですが、導入後のイメージを明確にするために活用事例を参考にすることがおすすめです。ここでは、ハイスピードカメラの活用事例の多い3社とおすすめ製品を紹介します。(2021年10月1日時点)

製造現場で活用するなら

ASPINA シナノケンシ
シナノケンシ公式HPキャプチャ
引用元:シナノケンシ公式HP
https://plextor.jp/plexlogger/

活用事例数

製造現場:40件
研究開発:8件
特殊状況:0件

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製造現場で求められる
スペックを満たし(100,000fps)
撮影・記録・解析機能が1台で叶う

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フォトロン
フォトロン公式HPキャプチャ
引用元:フォトロン公式HP
https://www.photron.co.jp/

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研究開発:29件
特殊状況:0件

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撮影速度100万fps以上の
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ノビテック
ノビテック公式HPキャプチャ
引用元:ノビテック公式HP
https://www.nobby-tech.co.jp/

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※活用事例の「特殊状況」とは、爆発や衝撃波などの事例を表しています。