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ハイスピードカメラの選び方

ハイスピードカメラとは、通常のビデオフレームレート(30FPS:1秒間に30コマで構成されること)を超える撮影速度を持つカメラのことです。

特に明確な定義などは存在していませんので、100FPS以上の高速度を撮影できるものをハイスピードカメラということが多いです。ただ、その性能は多種多様で、フレームレートだけではなく、さまざまな性能を知らないと、使用する目的に合った機種を選ぶことができません。今回はその性能の違いなど、ハイスピードカメラを選ぶ際に必要なことをご紹介していきます。

押さえておきたいハイスピードカメラの選定ポイント

まず、ハイスピードカメラを選ぶときには、何に使用するか、目的を明確にするべきです。例えば、製造の現場で使用する、研究用途で使用するなどです。

目的によって、求めるスペックが変わってくることを覚えておいてください。では、ハイスピードカメラを購入するときには、どのようなスペックに注目すればよいのでしょうか。前述の1秒間に何コマで構成されるか、というフレームレート(FPS)はもちろん大切ですが、それ以外にも、『コマ数(スピード)』『解像度』『モノクロかカラー』などの情報があるとカメラの性能を判断しやすくなります。それぞれの情報について、どのようなものかを解説していきましょう。

コマ数(スピード)

前述のフレームレートとほぼ同じ意味で使用されることが多い「コマ数」は、ハイスピードカメラにとって非常に重要な要素です。

ハイスピードカメラの機種は非常に多く価格帯もさまざまですが、一般的には1秒間に最大何コマ撮影できるかによって価格が決まり、撮影スピードが速い(コマ数が多く撮れる)機種のほうが高価になる傾向があります。しかし、スピードが速いという性能は非常に重要ですが、撮影対象の動きよりも速い撮影スピードの場合にはオーバースペックになってしまいます。逆に撮影対象の動きよりも撮影スピードが遅い場合には成果が出ないことになります。撮影対象や撮影目的に合わせたコマ数を選択しましょう。

解像度

解像度とは、画像の「密度」のことです。「dots per inch(ドット・パー・インチ)」の略で「dpi」という単位で表します。

この単位の意味は、1インチにいくつのドット(ピクセル)があるかという意味となります。例えば、100 dpiでは、1インチに100個のドットがあり、300 dpiでは、300個となります。

この dpiが高いほど、解像度が増し、より精細できめ細かい画像になっていきます。ハイスピードカメラでも、解像度は重要なスペックになっており、最大解像度が高い機種ほど、高価格になっています。ハイスピードカメラでの解像度の重要性は、撮影後の画像解析などのときに真価を発揮します。ハイスピードカメラ撮影後には、「動画保存」、「コマ送り再生」、「静止画抜取り・保存」、「運動解析・流体解析などのソフト解析や評価」などが実施されます。

そのときに、目的により詳細な検証を必要とする場合には、高解像度な画像が必要になります。高解像度で撮影をしておくことにより、細部の拡大などにも耐えられる画像になります。

一方で、それほどの詳細な検証が必要ない場合には、あまり高解像度のハイスピードカメラは必要ないことになります。撮影の目的によって、オーバースペックにならないような選択が必要です。ただし、解像度が選択できるような機種であれば、将来的な可能性も加味して、高解像度の機種を選択しても良いかもしれません。

また、高解像度のハイスピードカメラを選択するときに注意したいのは、解像度が高くなるほど、データ量が多くなり、結果、撮影コマ数(スピード)が遅くなったり、記録時間が短くなってしまうことです。解像度とほかのスペックのバラナンスを取ることが大切です。

モノクロかカラーか

ハイスピードカメラには、通常のデジタルカメラと違い「モノクロかカラーか」という選択肢があります。

ハイスピードカメラをまだあまり知らない方であれば、「当然カラーのほうが良い」と思うのではないでしょうか。しかし実際には、使用されているハイスピードカメラの90%程度はモノクロなのです。理由としては、モノクロカメラの方がセンサー感度が高く、実質解像度が高い、データ量がカラーの 1/3 になるなどのメリットがあるからです。テレビなど、一部のメディア関係で使用するものはカラーが主流ですが、そのほかの製造ラインでの使用や研究用では、モノクロが主流となっています。

カメラ感度

撮影をする際、どれだけ明るく撮影できるかどうかの指標のことです。ISO感度100,000などと表記され、この数値が高ければ僅かな光であっても明るく撮影ができると言えます。つまり暗闇で撮影するのであれば、数値が高い方が綺麗に撮影できるということです。

ハイスピードカメラを選ぶ際、感度も重要なポイントになるでしょう。1秒間で数千・数万のコマ撮影を行うため、時間を分割撮影するため光を取り入れる時間に制限がかかってしまいます。そのためISO感度が高ければ、鮮明で明るい画像を撮影可能です。自ら発光する対象物や現象の撮影などは照明を活用できないため、感度も必ずチェックしておきましょう。

シャッタースピード(露光時間)

カメラが光を取り込む時間のことを指し、シャッタースピードを短くすればイメージセンサーの露光が短くなり、長くすれば露光も長くなります。光を取り込む時間を長くすれば明るい画像を撮影できますが、被写体が動いてしまえばブレのある画像になってしまうので注意が必要です。たとえば流れ星を撮影する際、シャッタースピードを長くすることで流れるような綺麗な星を撮影できるでしょう。

ハイスピードカメラで計測撮影をする場合は、基本的にブレないシャープさがある画像を残さなければなりません。そのためシャッタースピードを短く設定する必要があるでしょう。適切なシャッタースピードを調整することで、計測する際の誤差や解析エラーを減らせます。

その他の選ぶポイント

データ転送方式

ハイスピードカメラのほとんどはカメラの内部にあるフラッシュメモリーにデータを保存し、そのデータをネットを介しパソコンなどに保存します。ハイスピードカメラで撮影すると何万枚にも及ぶ画像となり、データ量の負荷も非常に大きくなってしまうでしょう。そのためデータを保存するための通信の速度は、ハイスピードカメラを選ぶうえで重要なポイントになります。10Gbitを搭載している場合はスムーズにデータを保存でき、よりストレスもかかりにくいでしょう。

メモリ容量

ハイスピードカメラで撮影すれば、その撮影データはカメラの内部にあるメモリに一時的に保存されるでしょう。撮影できる時間は解像度・フレームレートなどで決まるため、メモリの容量が少なければ撮影に支障をきたしてしまいます。容量が大きければ、長時間の撮影にも対応しやすくなるでしょう。そのため観察・測定したい状況に応じて、メモリの容量を調整することが大切です。

レンズマウント

カメラとレンズの結合部のことをレンズマウントと呼び、ハイスピードカメラのメーカーによってことなります。また用途によってもレンズマウントの種類が異なるので、撮影する目的・用途・環境などに応じて適切なレンズマウントを選ぶことが大切です。

  • Fマウント
    ニコンのレンズマウントになります。非常にシャープな画像が撮影しやすいため、ハイスピードカメラで用いられるケースが多いでしょう。
  • Cマウント
    小さな物体を撮影する際のマイクロスコープレンズなどで使用されます。たとえば顕微鏡などで活用されるケースが多いでしょう。
  • EOSマウント
    キャノンレンズ用のマウントになっており、遠隔のピント調整や絞り調整ができるタイプです。
  • PLマウント
    基本的には映像の業界で活用されているシネマレンズ用のマウントになります。

ハイスピードカメラは目的に合ったスペックで選択

ご紹介してきたように、ハイスピードカメラといっても、さまざまな機種があり、そのスペックにも違いがあります。

『コマ数(スピード)』、『解像度』、『モノクロかカラー』などは、その性能が向上するほど価格も高くなります。「初めて買うのだから、多少高くても性能の良いものを買いたい」という方もいると思いますが、それはオーバースペックになる可能性もあります。ハイスピードカメラを使用する目的を考えて、適切なスペックのものを購入することが良い方法なのです。では近年、ハイスピードカメラの導入が多くなっている製造現場で使用する場合には、どのようなスペックが必要なのでしょうか。以下にご紹介していきましょう。

製造現場におけるハイスピードカメラ選定ポイントとは?

製造現場では、高速挙動の「見える化」により、品質の向上、設備の最適化、性能評価にハイスピードカメラを活用するメーカーは増えてきています。

現代では、昔ながらの「カン・コツ・ノウハウ」よりも、lotを重視する時代に移ろうとしています。そこで、重要な役割を果たすのが、ハイスピードカメラです。製造現場の課題解決には、以下のようなスペックを備えたものが必要です。

  • トリガ記録機能
  • 無人で稼働しているラインでも、トラブルなどを見逃さない機能です。常時撮影しているのではなく、何かが起きたときにその瞬間と、前後を記録することができます。

  • 軽量・コンパクト
  • 工場内での移動や持ち運びもしたい場合には、軽量でコンパクトなものを選択しましょう。製造ライン周辺の省スペース化も図れます。

  • PC解析用ソフトウェア
  • より詳細な解析や検証を行いたい場合には、非常に便利な機能です。記録機能映像から変位量の測定や、計測データのグラフ化、 詳細解析も可能です。

  • データロガー搭載タイプ
  • 音声信号や電圧の記録も取りたい場合に便利な機能です。簡単にアナログ信号のデータ波形と同期記録ができます。

  • 外部レコーダ同期機能
  • 外部レコーダ同期して、多チャンネルのアナログ信号を記録したいときに便利な機能です。

  • 赤外線カメラ切り替えタイプ
  • 温度の状態も同時に見たい場合に便利です。赤外線により、温度変化の映像計測をおこないます。

まとめ

ハイスピードカメラは、さまざまなスペックがありますので、使用の目的に合った適切な性能のものを選択しましょう。

購入前に必ずよく検証しておかないと、オーバースペックになったり、機能が足りなかったりすることになります。製造現場で使用する場合には、さまざまな課題を解決するオプションも用意されていますので、「製造現場でどのようなことに使用したいのか」という目的意識を持って選択してください。

さまざまなハイスピード
カメラを
扱っている会社一覧

THREE SELECTION
       
活用事例から見る!
シーン別ハイスピードカメラ3選
ハイスピードカメラを選ぶ上では、必要とするスペックや機能を把握することも大切ですが、導入後のイメージを明確にするために活用事例を参考にすることがおすすめです。ここでは、ハイスピードカメラの活用事例の多い3社とおすすめ製品を紹介します。(2021年10月1日時点)

製造現場で活用するなら

ASPINA シナノケンシ
シナノケンシ公式HPキャプチャ
引用元:シナノケンシ公式HP
https://plextor.jp/plexlogger/

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特殊状況:0件

おすすめの理由

製造現場で求められる
スペックを満たし(100,000fps)
撮影・記録・解析機能が1台で叶う

研究開発での用途が多いなら

フォトロン
フォトロン公式HPキャプチャ
引用元:フォトロン公式HP
https://www.photron.co.jp/

活用事例数

製造現場:8件
研究開発:29件
特殊状況:0件

おすすめの理由

研究用に適した
撮影速度100万fps以上の
製品が多い (3製品)

特殊な状況での撮影が必要なら

ノビテック
ノビテック公式HPキャプチャ
引用元:ノビテック公式HP
https://www.nobby-tech.co.jp/

活用事例数

製造現場:12件
研究開発:28件
特殊状況:7件

おすすめの理由

防衛や宇宙関連など、
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※Googleで「ハイスピードカメラ」と検索して出てきた上位の28社の中から、公式HPに掲載されていた活用事例数が多い3社をピックアップしています。(2021年10月1日時点)
※活用事例の「特殊状況」とは、爆発や衝撃波などの事例を表しています。